<日本やアジアはもとよりNetflixなどで世界へ広がる韓流ドラマ。それだけに慢心をもつ若い俳優も> 5月16日、さまざまな話題を呼んだ韓国ドラマ『夫婦の世界』。第1話は6.3%とごく普通の視聴率だったが、回を重ねるににつれ話題を呼び、最終回は28.4%(瞬間最高視聴率31.7%)と、同じケーブル局JTBCで一昨年放送され社会的な現象を呼んだ『SKYキャッスル』の記録を抜き去り、非地上波歴代最高視聴率を更新。JTBCとしても史上初となる7週連続視聴率新記録更新を打ち立てて幕を閉じた。 このドラマ『夫婦の世界』は、イギリスBBCの大人気ドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』の韓国リメイク版である。今Netflixで配信され世界的ヒットを飛ばしているドラマ『梨泰院クラス』の後番組として放送が始まった。不倫された妻が夫との離婚後に繰り広げる復讐劇で、その演出の過激さから、初回から6話まで、そして9話から最終話までをR-18指定されたことでも話題となった。 魅力はジェットコースターのようなストーリーの展開の早さ。裏切りに次ぐ裏切りに目が離せないと口コミで人気を呼び、さらに、主人公の女性が頭が良く地位もお金も手にしたいわゆる成功したキャラクターでありながら、夫から不倫という裏切りを受けて復讐するという設定が見る者を魅了しているようだ。 R-18指定されたドラマの子役が喫煙・飲酒 このように、今季一番のヒット作として話題を集めていた『夫婦の世界』だが、このドラマに出演していた2人の子役に関して、過去のSNS投稿が波紋を広げている。 今月10日、オンラインコミュニティーサイトに、『夫婦の世界』で主人公夫婦の息子の友人役で出演していた子役チョン・ジウォンのFacebookからキャプチャーされた写真が数枚投稿された。 そこには、チョン・ジウォンが友人ら数人とお酒を飲み、たばこを吸っている姿が写っている。ところが、彼は2004年生まれで、今年まだ16歳だ。未成年の喫煙・飲酒が明るみになるとたちまち炎上し、『夫婦の世界』の公式HPのコメント掲示板には、チョン・ジウォンのドラマ降板を要求する書き込みが多く寄せられるようになった。 翌日5月11日、チョン・ジウォンの所属事務所ダイン・エンターテインメントは、喫煙・飲酒の事実を認め「所属俳優の管理が不十分だったことを謝罪する」とともに、「出演は、もともとすでに放送終了している14話までで、それ以降は出演しない」「内部調査を進めている。状況を綿密に把握し、二度とこのようなことが起こらないように努める」と公式文書を発表した。 ===== 女性嫌悪を表すイラストをSNSに ところが、その数日後、今度は主人公夫婦の息子ジュンヨン役を演じた14歳の子役チョン・ジンソがターゲットとなった。オンラインサイトに、チョン・ジンソが過去SNSに投稿したイラストと友達同士の会話のキャプチャー画像が投稿されたのだ。そのイラストとは、中指を立てた男性が「女性は皆消えてください」と言っている絵である。 これは、極右思想や女性蔑視などがはびこる過激なオンラインサイトでばら撒かれていた、女性への敵愾心を表したイラストだった。「女性なら誰でもよかった」という衝撃的な"女性嫌悪"で、通りがかりの女性を殺害した2016年の江南駅通り魔殺人事件。この事件がきっかけとなって韓国におけるフェミニズム意識が高まりを見せたが、そんな女性たちに反感をもった一部の男性がさらにフェミニズム嫌悪を主張し始め、このようなイラストが拡散されるようになったのだ。 チョン・ジンソの所属事務所は、謝罪と共に「当時オンラインで出回っていたイラストを投稿しただけで、彼は該当のイラストの象徴性も内容の意味も分かっていなかった」と説明したが、批判の声は相次いだ。 このように、韓国ではここ数年、"男性VS女性"のような図式の対立が目立つようになり、子役たちも知らず知らずのうちにその流れに乗ってしまっていることがある。 あの「n番部屋」事件に言及しての炎上も 最近では、15歳になるミュージカル子役キム・ユビンが、n番部屋事件に関連して、「韓国の男性が全員n番部屋に加入していると思うなよ」という内容を、乱暴な言葉と女性蔑視の単語でFacebookストーリーに投稿し批判を浴びた。キム・ユビン側はその後謝罪文を発表、SNSを非公開にしてしまった。 さらに、ジェンダーについての子役問題では、このようなケースもあった。Netflixで世界配信中の韓国ケーブル局tvNのドラマ『ハイバイ、ママ!』で、5歳の子役ソ・ウジンは、性別は男の子なのにもかかわらず、女の子役として出演していた。愛らしい容姿に加え、母親役のキム・テヒの幼少期にそっくりだということが理由だった。 ところがこの事実が明るみになると、インターネット上では、「今後の性のアイデンティティに影響が出る可能性がある」「そこまでして役が欲しいのか。子供がかわいそう」など、ソ・ウジンの両親に対して批判が集中。母親がSNSを通じて、本人と話し合ったうえで決めた経緯など説明し、批判をやめてほしいと訴えている。 ===== 子役が活躍する韓流ドラマ、トップスターになる者も 韓国の人びとは、家族の絆や愛情を、日本よりも言葉や態度に出して表現することが多い。それがドラマや映画にも反映され、主人公の家族や親戚関係を詳しく描くことが多く、重要な役割での子役の登場シーンが多く感じられる。それ故、注目度も上がるため、子役から若手俳優、そしてトップスターの道へ突き進む俳優もたくさんいる。 日本で"グンちゃん"の愛称で知られるチャン・グンソクもそのひとり。6歳のときに子役モデルとしてデビューしている。また先日、第43回日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞したシム・ウンギョンも2004年にドラマ『張吉山』で子役デビュー。さらに、その後ドラマ『ファン・ジニ』では主人公の幼少期役を演じ、KBS演技大賞青少年演技賞を受賞するほど、子役時代から演技には定評があった。 また、日本でも多くの主演ドラマや映画が公開されている韓国を代表するベテラン女優キム・ヘスは、中学生のときにCMデビューし、その後今に至るまで出演CMは90本を超えるという。 子役ゆえの問題とは 実は、筆者も中高生時代、子役としての活動を行っていた。といっても、関西ローカルドラマに3、4本出演していた程度で、その他ミュージカルなどの舞台が中心だったが、あの頃を思い返してみると、同級生よりも先に大人の世界に一歩足を踏み入れて、周りの大人たちが一人前扱いしてくれることに妙な自信をもってしまっていたような気がする。ただの子供だったのにもかかわらず、自分のことは自分でコントロールできると勘違いしやすい環境だった。 現代の子役たちは私たちの頃と違って、すでにスマートフォンを操り、SNSをいくつも作って世界の人直接交流している。注目を集めやすい分、自分が何でも知っていて、自分ひとりの力で何でもできるものだと思い込んでも不思議ではない。その後のキャリアや人格形成にも悪い影響が出てしまいかねないだけに、親や所属事務所が、適切な管理をしてあげてほしいと願うばかりだ。 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年5月26日号(5月19日発売)は「コロナ特効薬を探せ」特集。世界で30万人の命を奪った新型コロナウイルス。この闘いを制する治療薬とワクチン開発の最前線をルポ。 PLUS レムデジビル、アビガン、カレトラ......コロナに効く既存薬は? ===== 子役2人がトラブルで炎上したドラマ『夫婦の世界』 ケーブル局として過去最高の視聴率を記録した『夫婦の世界』だが、子役のトラブルも話題となった。 뉴스1 연예TV / YouTube こんなにカワイイ子が男の子! 愛らしい女の子が、実は男の子役だということで両親が批判されるほどの話題となった『ハイバイママ』のソ・ウジンくん。 eNEWS24/ YouTube