<コロナ隠蔽や人権抑圧を理由としたボイコット論に中国は「五輪の政治家だ」と反発> アメリカの社会活動家や共和党の政治家は、2022年に開催される北京冬季五輪をアメリカはボイコットするべきだと訴えている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期に情報を隠したとみられる中国政府の対応や、新疆ウイグル自治区のウイグル人たちに対する弾圧がその理由だ。 アメリカが過去に五輪をボイコットしたのは、1980年のモスクワ夏季五輪の一度だけだ。バイデン政権はまだ最終的な決断を下していない。だが、ジェン・サキ大統領報道官は2月25日、アメリカが参加しない可能性はあると示唆し、予定変更に関する議論は一切ないとした数週間前の発言から明確に軌道修正した。 米政府が参加を決定していないことについて質問された中国外務省の汪文斌報道官は、「五輪憲章の精神」に背く「スポーツの政治化」だと批判した。 「五輪のボイコットや開催国の変更に向かう誤った動きに対しては、アメリカオリンピック・パラリンピック委員会を含めた国際コミュニティ全体が反対するべきだ」と、汪は2月26日の記者会見で述べた。「すべての関係者の一致団結した取り組みにより、2020年北京冬季五輪はすばらしいイベントになるとわれわれは確信している」 過去にモスクワをボイコット 米国オリンピック・パラリンピック委員会は2022年のボイコットを支持していない。同委員会で広報を担当するジョン・メイソンはその理由を、ボイコットは「アスリートに悪影響を与える一方で、世界的な問題の有効な解決策にはならない」からだとCNBCに対して説明した。バイデン政権は「言うまでもなく」同委員会の指針を重視するとサキが述べていることから、現時点ではボイコットの可能性は低そうだ。だが、北京五輪開催はまだ1年も先の話だ。 40年前、当時のジミー・カーター米大統領は、アフガニスタンに侵攻したソビエト連邦が期限までに撤兵しなかったことを受け、1980年モスクワ五輪のボイコットを決断した。カナダ、西ドイツ、日本もアメリカとともにボイコットし、賛否両論を呼んだ。 ジョー・バイデン大統領に対して北京五輪のボイコットを強力に迫っているニッキー・ヘイリー元国連大使は、この五輪を1936年のベルリン五輪になぞらえている。ヒトラーはベルリン五輪をナチスのプロパガンダに最大限に利用、第二次大戦とホロコーストを引き起こした。現在の中国が「1936年当時のナチス・ドイツよりも危険であるのは明らかだ」と、ヘイリーはFOXニュースに寄稿した。 「愚かな楽観主義が溢れていた」1936年とは異なり、「中国共産党政権に関する見当違いの希望」は存在していないはずだとヘイリーは述べている。そしてその根拠として、香港の民主化運動の弾圧、パンデミックの「組織的で徹底した隠蔽」、ウイグル人の「ジェノサイド」を挙げている。 ===== 「中国共産党の方針を考えれば、遠くないうちに、1940年代のナチス・ドイツと同じ状態になる可能性がある」とヘイリーは書いている。「冬季五輪に参加することでアメリカが中国を称揚することになってはならない……バイデン大統領はボイコットの決断を下さなければならない。難しい決断ではないはずだ」 ドナルド・トランプ前大統領の任期末期には、マイク・ポンペオ前国務長官が、イスラム教徒のウイグル人迫害に関して中国政府が「ジェノサイドと人道に対する罪」を犯していることをトランプ政権が認定したと発表した。また、アメリカは中国政府による「ウイグル人を一掃するための組織的な試み」をまのあたりにしているとも述べていた。 バイデン政権のアントニー・ブリンケン国務長官も、指名承認に向けた上院の公聴会で、ジェノサイドの認定に同意すると述べた。中国はそうした非難について、真実ではないとして否定している。 北京冬季五輪は、2022年2月4日に開幕する予定だ。共和党のマイケル・ウォルツ下院議員は、開催地が変更にならない場合には2022年北京五輪に参加しないことを米国オリンピック・パラリンピック委員会に対して求める決議案を提出した。ウォルツは声明のなかで、アスリートを北京に派遣すれば、中国の「凶悪な行い」を正当化することになると述べている。 (翻訳:ガリレオ)